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石田雄太さんインタビュー②

執筆者の写真: Maki IshikawaMaki Ishikawa

石川真紀より、みなさまへ。

ベースボール・ジャーナリスト:石田 雄太さんとのインタビュー記事を掲載します。

(計4回のうち、2回目)

 

--- 雄太さんのお仕事にとって、野球に造詣が深いことは絶対条件でしょうか?

 

石田 雄太さん(以後:石田): 僕はプレーしたことはないんです。野球はやったことがないけれど、観ることに関しては、かなりのレベルのプロフェッショナルだと思っています。あと、ラグビーは少しやったことがあります。

ちょっと語弊があるかもしれないけど、テレビは広く浅く、僕がやっている活字の仕事、Numberの仕事は狭く深くっていうのが求められる。狭く深くっていうジャンルは、勉強ではどうしても追いつかないところが出てくる。Numberの仕事をするようになってから、おそらく5~6年は、野球と野球以外の仕事、ラグビーやサッカーも取材しました。例えば1971年の日本シリーズって言われたら、生まれた直後くらいだけど、もう結果から景色から誰が居てって、すぐ浮かぶ。でも、サッカーで西が丘でやった古河対ヤンマーって言われたら、景色もユニフォームも選手も何も浮かばないわけです。それって、選手のインタビューをする時に、突然、そういう話が出てくる可能性があるとすると、Numberで野球以外の競技にタッチしちゃいけないなって、ある時、思った。野球のプレーに対する造詣はないけど、野球を観ることに関しては、造詣は深い。それで充分勝負できる。だけど、そういう背景がない競技・種目に関しては無理だなと思います。

僕、NHKに居た時に、「お前、野球バカになるなよ」ってよく言われて。ドキュメンタリーの基本で描くのは人だから、野球バカになっちゃうと人を観る目が曇るから、何をやっているかに関わらず人の本質を観ろと、先輩方に口酸っぱく言われた。その発想が間違っているとは思わないけど、僕は野球の仕事がしたいし、野球を生業にしている人は、野球をわかっていないと、そこまで話そうとしないと思っていたから、野球バカじゃないとダメだなって。だから、選手としての造詣は必要ないと思っているけど、好きかどうかっていうのは、すごく大きいと思います。

 

--- 雄太さんは、記事やご著書として、人にフォーカスしたものを多く発表されています。取材対象にフォーカスする際は、この期はこの選手と、人にフォーカスしていくのか、それとも、常に野球全体を競技として観ている中で、惹き込まれる選手にフォーカスしていくのでしょうか?

 

石田: それは狙ってできるもんじゃない(笑)。だって、取材始めた頃、大谷くんがこうなるなんて誰も予測できないじゃないですか。イチローくんだって、最初取材始めた時に、日本ですごい選手だったけど、メジャーでこんなにすごい選手になるなんて想像できなかったし。

だから2つあって。1つは、僕が興味を持つ何かがあって、向こうも僕に話してもいいと思う何かがあって、っていう、お互いの素養に対して相性がよかったっていうのが1つあると思う。それは、僕お酒飲まないからさ、大酒飲みだと一緒に時間を使うことがあまりなかったりとか、そういうことも含めて、時間の使い方、遊び方とか食べ方とか価値観とか、そういうものが近くないと、なかなか難しいっていうのはあるかもしれない。もう1つは、これは自分で全くコントロールできない縁みたいなものが必ずあると思っていて。自分からこの選手をなんとかしようと思って近づこうとしたことはないんです。むしろ逆で、縁があればきっとどこかで、そういう機会がくるかなと思って。例えば、斎藤佑樹が甲子園で2日連続で決勝ってあったでしょ、駒大苫小牧と(2006年夏)、僕あの時、イチローくんの取材でシアトルに出掛けて、2日間、日本に居なかったから、空気が全然わからなかった。で、甲子園で優勝した斎藤佑樹に向けて、桑田真澄、松坂大輔を取材してきて次は斎藤佑樹、まぁ、まあくん(田中将大)という人もいるけど甲子園で勝ったという意味で、僕は桑田さん、松坂さんと繋がるラインとされる。そしたら、彼が大学3年の時にNumberが早稲田特集って言い出して、斎藤投手にインタビューしてくれませんかって言われて、それが最初。待ってるとね、来るんですよ。

だから未だに一度もインタビューしたことがない選手っているんです。それは例えば、(その選手の)高校時代に本を書きませんかって言われて、高校の試合ずっと観てたのに本がポシャって、本人にインタビューする前に終わってしまいました。その後、彼はプロになり、メジャーに行きました。で、メジャーに行ってから1回インタビューするっていう話もあったのに、それも何かの理由でできなくなっちゃいましたっていうことが繰り返されて、未だに1回も1対1でインタビューしたことがないのが、ダルビッシュ有投手。

 

--- これは、大谷翔平さんが言ったように、「自分以外のことは言うと叶わない気がするので」私の心の中に留めておいて、実現したら、雄太さん、実現しましたね!って言うことにしましょうか。

 

石田:( 笑)。別に言っちゃっていいんだけどね。ここでしゃべったことも流れだろうし、色んなことが縁に繋がる。ご縁が繋がるとしたら何かが起こるんだと思うから、繋がったらきちんと向き合うっていう、そういうことだと思います。

 

--- ダルビッシュさんは多弁な方ではない?

 

石田: しゃべるとなったら、しゃべること好きだと思うけどね。あれだけ色んなことを考えて言語化する能力があれば、話したいこともいっぱいあるだろうし、自分の言葉でものを話すタイプに見えるから、それは訊き手としてすごく興味のある存在でもあるし。媒体ありきの話で、求められて仕事として、であれば成立するわけだから、待つしかない。果たして来るんでしょうか。

 

(記事は合計4回掲載予定。続きは5月22日に掲載予定です。)



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