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執筆者の写真Maki Ishikawa

自分のために

2024年度 第48回ピティナ・ピアノコンペティション 全国大会、

特級ファイナル・表彰式、

ならびに、

先立って開催されました指導者賞・新人指導者賞・コンプリート賞表彰式の

MCを務めました。


前職で毎夕、生放送を担当しておりました都合上、

本コンクール関連のMCの担当は12年ぶり。

この時の流れを経てお伴することがかない、

参加者、指導者、運営、それぞれが、たゆまぬ進化と試行錯誤を重ねておられる姿に接し、

受けた生をもって、昨日より今日、さらに良く在るために歩み続けることの素晴らしさを

再認識いたしました。


学歴主義ではなく、教育に熱心に貢献される先生方に送られる指導者賞を

今年初めて受賞された本荘悠亜さんが語る

「指導者になると、自分たちが褒められることは少ない。

 この指導法でよいのか、この方向で合っているのか、常に自問する日々にあって、

 指導者賞は、とても励みになる」という趣旨の詞に、

同じく受賞された多くの指導者の方々が頷いておられ、

他界した恩師・若松マキ氏も、迷いや弱音を口にされることがなかったと、

当時まだ子どもだった私には知る由などないものの、

教室の門を叩いてから全国大会に送り出してくださるまでの思いは

如何ばかりであったのかと、思いを巡らせておりました。


どのような業界、領域であっても、

おそらく正解は1つではなく、完成することはないのでしょうが、

門下生・参加者が、指導者・審査員に選ばれる一方であった時代から、

選ばれる場面とセルフプロデュースとのハイブリッドがスタンダードとなった

現代を経験することで、

きっと今は想像できないような面白い展開が、何年後かには生み出されることでしょう。


音楽は聴く人がいて初めて成立するものであることは論を待たず、

老婆心で付け加えるとしましたら、

「自分のために弾く」という気持ちを、どうか大切にし続けてほしいと思っています。

誰の評価も受けず、自分のやりたいように、

楽典や楽曲の解釈などは譜面台からいったん外して、気分の赴くままに、

楽しい感覚が胸の中に充満するのを感じながら奏でる ― 。

様々な事情で離れることがあったとしても、

ピアノは、ずっと支えになってくれるはずです。


受賞されました皆様、おめでとうございます。

今回は受賞とならなかった参加者、指導者、保護者、支援者の皆様にも、

改めて拍手を!

コンチェルトご共演の東京フィルハーモニー交響楽団の皆様、

ご関係の皆様、

素敵な舞台をご一緒させていただき、ありがとうございました。


*画像を整理できましたら、追って掲載予定です。


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